Macにシリアル(RS-232C)ポート

レガシーインターフェースとしてMacではとうの昔に、今ではWindows PCからも排除されようとしているRS-232C(EIA-232-Dになったんだっけ?)シリアルポート。身の回りに古い機器が多いためか、いまだにお世話になる機会がある。 ここらでひとつMacで使えるUSBシリアル変換ケーブル*1についてまとめてみよう。

メーカーが対応を表明しているもの

この手の製品でMac用といえばまず思い浮かぶのがKeyspan社である。Intel Macが出たときも対応が早かった。無難な選択だが他の製品に比べて値が張るのが欠点。他にMac対応を謳っているものとしてはラトックシステムのREX-USB60F、サン電子のVS-60Rがある。

ナイショだけど使えるもの

Windows PC用の製品はいろいろあって値段も安いが、パッケージにはマック対応とは書かれていない。書かれてはいないが、これらの製品にはProlific社のPL-2303や、FTDI社のFT232BMというチップが使われていることが多いらしく、うれしいことにこの2社はWebサイトでMac OS X用のドライバを公開している。

PL-2303 - Prolific Technology Inc.

FT232BM - Future Technology Devices International Ltd.

なので発売元はWindows以外知らんぷりという製品でもドライバーをダウンロードしてくれば使えちゃう可能性がある*2

USBシリアルアダプターいろいろ

手持ちのUSBシリアルケーブルをならべてみる。これらは全てPowerPC Macはもちろんインテルマックでも動く。

Keyspan USA-28X
古き時代のMacintoshと同じミニDIN8コネクタのRS-422ポートを2つ備える。
Keyspan USA-19Qi
この型番は製造されておらず後継機種USA-19HSに変わっている。
RATOC REX-USB60F
国内メーカー品なので安心?(気休め程度には。)
SUNTAC VS-60R
Mac OS X標準のCDCドライバが使える*3ので別途ドライバーをインストールする必要がなく使い勝手は良いのだが、ハードウェアフロー制御を切ることができないなどクセが強い。記事を書いている時点で既に製造終了のようだ。
Arvel SRC06USB
FT232BMチップを使った製品。FTDI社のドライバであっさり動く。
ELECOM UC-SGT
PL2303チップを使った製品。Prolific社のドライバーで動くが、そのままではデバイスにマッチしないのでドライバパーソナリティ部分を書き換える必要がある。
ATEN International Co., Ltd. UC-232A
これもPL2303が使われているようだ。ATEN社サイトにてMac用のドライバーも配布されている。
FT232RL USBシリアル変換モジュール
秋月電子通商から購入したFT232RLベースのモジュール。基盤むき出し、4本のGPIO端子もついている。FTDI社から配布されているD2XXドライバ・ライブラリを使ってプログラミングすることもできる。最も低価格。電子工作派の人にはいいかも。

PL-2303ドライバー書き換えスクリプト

PL-2303ドライバーの書き換えを自動化するRubyスクリプトを作ってみた。使い方を説明する。Prolific社のドライバーをインストールし、認識させたいUSBシリアルアダプターを接続する。スクリプトpl2303extra.rbをダウンロードして展開し、

$ sudo ./pl2303extra.rb

とする(管理者権限が必要)。終わったら再起動。

このスクリプトはIORegistoryをスキャンしてそれらしきデバイスを見つけ出しドライバ パーソナリティに書き加える。カーネルエクステンション内のファイルを直接書き換える危険なスクリプトなので、動作をよく理解していない人は使わないように。何かトラブルが起こっても責任はもてない。PL-2303 (H, HX, X chip version) Mac OS X Universal Binary Driver v1.2.1r2で動作を確認している。

便利な小物 Jerminal

ちょっとしたテストをするのに便利なツールとしてcandyさんが作成されたJerminalというシリアル通信プログラムがある*4。氏に感謝しつつ、勝手にMac OS X用Universal Binaryにコンパイルしてディスクイメージ Jerminal8095.dmg にまとめた。

(2006-08-08)


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Last updated: 2013-12-02